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小松美羽展・祈り宿る~死生観から始まる祈りの旅

先日、札幌芸術の森美術館で開催されている、「小松美羽展・祈り 宿る」 へ足を運びました。

  

 

友人に誘われ、訪れた展覧会。

 

まずは会場に入る前から、神獣たちのオブジェに心が躍ります♪

 

 

この後、想像を超える旅が始まります。

 

展覧会は撮影OKだったので、写真を交えながら振り返ってみようと思います。



初期の頃の作品

 

美羽さんのキャリアは、ご自身の死生観を銅版画で表現することから始まっています。

 

初期の作品に漂う、繊細で静かな、モノトーンの世界。

そのなかに、不思議と安心感を感じました。

 

四十九日:銅版画
四十九日:銅版画

 

祖父の死をきっかけに描かれた『四十九日』

 

魂が旅立つその瞬間を見つめるような作品で、この1枚には、美羽さんの死生観が込められています

 

展示されていた紹介文「プロローグ 深奥をみつめて」より、背景の一部をご紹介します。

 

18歳の頃に制作した「うさぎの裸」という作品。

 

飼っていたウサギを看取った瞬間に、魂が抜けてゆき、その体は単なる物質へもどるような感覚があったのだそうです。

 

それは悲しむべきことでなく、肉体の死を通過した先に、魂の純粋な世界があるという”救い”だったと語られています。

 

この時に感じた死生観は、祖父の死をきっかけに描かれた「四十九日」に繋がっていきます。

 

祖父が亡くなった時も、ウサギを看取った時と同じような感覚を感じたとのこと。

 

亡くなった祖父の魂は、ペットのウサギの魂に先導され、死後の世界へと進んでいく。

 

そこは、人間も動物も、純粋な魂としての平等の世界があると。

 

死は終わりではなく、始まりだと…

 

その時の美羽さんの死生観が描かれている作品が、この「四十九日」という作品です。

 

プロローグをじっくり読んだとき、「ああ、私が作品に感じた安心感は、ここからきてたのか」と深く納得しました。

 

このときの美羽さんは、21歳前後

 

身近な存在との別れを通して、このような死生観を感じられたことは、衝撃と安堵が入り混じる、魂がふるえるような体験だったのではないでしょうか…

 

まばゆい金の楕円に委ねていく
まばゆい金の楕円に委ねていく

 

私自身、死は肉体としての終わりであっても、目には見えない本質のようなものは、肉体から解放されて自由になり、存在し続けるのではないかと感じています。

 

10年以上前になりますが、父があの世に旅だった後、初七日頃に見た夢があります。

何とも言葉にしがたい光の川が、上へ上へと昇っていくような映像でした。

 

夢の中で、私はその光の存在を「あ、お父さんだ」と自然に認識していました。

 

そして、「あの世って神聖で美しい所なんだな」と感じながら…

そこへ父が還っていったように思え、安心したのを思い出しました。

もちろん、夢の中で…

 

とは言え…

大切な存在とのこの世での別れは、言葉にならないほどの切なさや悲しみを伴います。

 

美羽さんの死生観・作品は、そんな別れの時に訪れる不安や悲しみを、そっと和らげてくれるように感じました。

 


神獣を描く現代アーティストへ

 

26歳の頃にニューヨークを訪れて、現代アートの第一線を目の当たりにした美羽さん。

 

その時に得たさまざまな経験が、版画から一点モノの作品である絵画へ制作の場を移すキッカケとなったそう。

 

これほどまでに作風が大きく変化するには

 

どれほどの内面の葛藤があっただろうか…

 

 

 

その後も多くの国を旅しながら感じた、その土地のスピリットや、文化や言葉は違えと共通に存在する祈りの形に、美羽さんの霊性が突き動かされ続け、創造へと導かれているとのこと(パンフレットの紹介文より)。

 

龍や神獣たちが、色彩とともに

 

祈りの空間を満たしていた

 

それらが力強く表現されている作品を目の前に、私は思わず立ち尽くしました。

 

 

 

そして”変容”という言葉の意味を

理屈ではなく

美羽さんの作品の変化を通して

 

ああ、こういうことなのか…と

やっと腑に落ちた感覚がしました

 

 

そこには

真剣に向き合ってきたプロセス

 

それが通用しないという現実を目の当たりにした、深いショック

 

大切に育ててきた何かを手放す覚悟

 

手放したあとに、全く違う存在を受け入れる潔さ

 

外側からは見えない内的な葛藤の渦を超えて…

 

ようやく変容へとたどりつく

 

そんなことを、静かに考えてしまいました。

 



 

最後の空間はアイヌ文化

北海道の風土を取り入れた新作たちに囲まれながら…

 

静かに、力強く締めくくられていました

 


この展覧会は、死生観から始まり

 

あの世とこの世の境界線

 

物質と精神性

 

霊性とは…

 

そんな本質的な問いを、改めて投げかけられているように感じました。

 

展覧会の副題は

Sacred Nexus: Resonating with Cosmos(宇宙と響きあう聖なる交差点・宇宙と共鳴する祈りの場)

 

美羽さんが描く神獣や祈りのかたちは、神羅万象や宇宙の秩序とつながっているという思想を表しているそうです。

  

まさに、色んな国・土地で感じたスピリット…

 

祈りという共通の存在を静かに力強く感じられる空間でした

 

 

 霊性の探求は、これからもずっと続くけれど…

  

まずは、せっかく北海道に住んでいるのだから、この土地のエネルギーを意識的に感じたり

 

日々の暮らしの中の祈りの時間を、大切にしていこうと思いました。

 

小松美羽さん、素晴らしい作品を、経験を、ありがとうございます♡